ロールリバーサルとは、チャート上の『レジスタンスがサポートに転換する』、またはその逆が起こる場面を指します。これは、トレンドフォローにおける押し目買いや戻り売りの判断にもつながる非常に重要な概念です。
この記事では、ロールリバーサルを活用した具体的なトレード手法について、ユーロ円のチャートを例にわかりやすく解説していきます。
■ 損切りの鉄則:『エントリー根拠が崩壊する場所』に置く
トレードで生き残るために最も重要な『損切り』から解説します。
やってはいけないのは、ロールリバーサルしたラインのすぐ下に、何となく損切りを置くことです。これでは、ノイズとなる一時的なヒゲで刈り取られてしまうのが関の山です。
損切りを置くべき絶対的な場所、それは『エントリーシナリオが完全に崩壊するポイント』です。
例えば、「ダブルボトム形成後のネックラインへの押し目買い」を狙うのであれば、損切りはダブルボトムの最安値の下以外にあり得ません。なぜなら、その最安値を割れた時点で、上昇の根拠であるダブルボトム自体が成立しなくなるからです。(しっかりと反発した後にネック下にトレール)
ロールリバーサルは、数ある根拠の中の一つに過ぎません。『上位足のMA』『トレンドライン』『チャートパターン』といった複数の根拠を組み合わせ、それら全てが否定される場所に損切りを置くことで、初めて無駄な損失を防ぎ、優位性を確保できるのです。
■ エントリーの鍵:『左側のどの抵抗を抜いたか』を見極める
次に、利益の源泉となる『エントリー』の精度を極める方法です。
新しい上昇波や下落波が生まれたとき、必ず自問自答してください。『この波は、チャートの左側にあるどの抵抗帯を打ち破ってきたのか』と。この分析こそが、次に市場が意識する価格帯、つまり、絶好のエントリーチャンスを浮かび上がらせます。
未来を暗示する『小さな押し』
ブレイクアウトの初動には、15分足レベルの非常に小さな押し目や戻りが頻繁に見られます。この『初動の小さなロールリバーサル』が起きた価格帯は、のちに相場が大きく調整する際の、極めて強力なサポート・レジスタンスとして機能します。
エントリーは2つの『型』を待つ
焦って飛び乗る必要はありません。エントリーは、以下のどちらかの形が整うまでじっくり待ちましょう。
- 深い押しを待つ(王道パターン) 上位足で確認できる明確なネックラインやサポート帯まで価格が戻ってくるのを待ちます。MA(移動平均線)が追いつき、そこで価格が反発するのを確認してからエントリーするのが最も安全かつ確実です。
- 抜けた後の浅い押しを狙う(トレンドフォロー) 強いトレンドでは、深い押しが入らず上昇・下落を続ける場合があります。その際は、直近の高値(安値)をブレイクした後、そのラインまで軽く押してきたところを狙います。これもまた、立派なロールリバーサルです。
最も重要な鉄則は、『MAが追いつくのを待つ』ことです。価格だけが先行してサポートラインに到達しても、MAが追いついていなければ、それはダマシのサイン。もう一段深く下落する可能性が非常に高いと考えましょう。
■ 利確の考え方:『第一波』は欲張らない
最後に、利益を確実なものにする『利確』の技術です。
ダブルボトムなどのチャートパターンをブレイクした直後の『第一波』は、どこまで伸びるかを完璧に予測するのは難しいです。この初動で欲張りすぎると、中途半端な位置で反転され、せっかくの利益を失うことになります。
ブレイク後の第一波は、あくまで『偵察部隊』と心得てください。N波動などで計算できる直近の目標値に達したら、一度確実に利を食っておきましょう。
本当に狙うべきは、その後の調整を挟んで発生する、最も伸びやすい『第三波』です。第一波で得た利益を担保に、本命の第三波を狙う。これこそが、資金を効率的に増やすための賢明な戦略です。
成功率を上げるための意識ポイントまとめ
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ブレイクが甘いと感じたら、深めの押しを待つ
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MAが追いついていないなら、まだ仕掛ける場面ではない
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ダブルボトム・トップのネックラインはロールリバーサルの起点になりやすい
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ロールリバーサルと押し目買いは同じ現象を異なる視点で見ているだけ
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損切りラインは『自分の根拠が崩れた位置』で決めること
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抜けた先端でのロング・ショートはNG。『下から買う・上から売る』『抜けた後の押しを拾う』を徹底する
まとめ:ロールリバーサルは波の呼吸を読む技術
ロールリバーサルは単なるテクニカル手法ではなく、『波動の継続と転換』を判断するためのチャートの呼吸のようなものです。
最初は難しく感じるかもしれませんが、ひとつひとつの波を丁寧に観察し、どこで抜けて・どこで押したのかを記録していくことで、必ず見える景色が変わります。
ぜひ今日のチャートから『どこを抜けて、どこに押しているか』を探してみてください。それがあなたのトレードの精度を大きく高めてくれる第一歩になるはずです。