トレンドフォロー実践:複雑な相場を読み解く4つの視点 2023年 ユーロドル vol.8

ユーロドル チャートパターン 鉄板Wトップ Wトップ・Wボトム

ユーロドル(EUR/USD) トレンドフォロー実践:複雑な相場を読み解く4つの視点

「トレンドフォロー」と聞くと、単純にトレンドに乗るだけ、と思われがちですが、実際の相場はもっと複雑ですよね。特に大きな流れと短期的な動きが交錯する場面では、どう判断すれば良いか迷うことも多いはず。

今回は、実際のユーロドル(EUR/USD)のチャート分析を例に、複雑な状況下でトレンドフォロー戦略を実践するための4つの重要な視点(ルール)について、具体的な考え方をご紹介します。

状況設定:日足アップトレンド後の調整局面

今回の分析は、日足でアップトレンドが一旦完成し、その後の調整下落が始まった場面からスタートします。週足レベルで見ると、ダブルトップのネックライン付近で上ヒゲを出し、強く下落している状況。しかし日足の直近の構造はまだアップトレンドを維持している…という、少し判断が難しい局面です。

視点1:マルチタイムフレームで環境認識(森も木も見る)

まず基本となるのが、複数の時間軸で相場全体を把握することです。

  • 週足・日足(大きな流れ): 今はどんなトレンドなのか?重要なサポートやレジスタンスはどこか?大きな反転サインは出ていないか?(今回の例では、週足レベルの抵抗と下落サイン、日足レベルの押し目候補エリアを確認)
  • 4時間足・1時間足(具体的な戦略): 大きな流れを踏まえつつ、短期的なトレンド、チャートパターン、エントリータイミングを探る。

大きな時間軸で「森」(全体像)を見て、小さな時間軸で「木」(具体的な値動き)を分析する。この両方の視点を持つことが、的外れなトレードを避ける第一歩です。

視点2:重要な支持・抵抗帯(S/R)を特定する

次に価格が反応しやすい重要なサポート(支持)ラインやレジスタンス(抵抗)ラインを特定します。

  • なぜ重要か?: これらのラインは、多くのトレーダーが意識するため、価格が反転したり、逆にラインをブレイクすると勢いがついたりするポイントになります。
  • どう活用するか?:
    • むやみにエントリーしないための「壁」として認識する。(例:強いサポートゾーンの手前で安易に売らない)
    • 反転の可能性を探るエリアとして注目する。
    • ブレイクした場合のターゲットや、トレンド転換の目安とする。
  • ポイント: 複数のラインを引いて「ゾーン」で捉えることで、より精度の高い分析が可能になります。(今回の例でも、日足の押し目候補として複数のラインを引き、ゾーンとして意識していました)

視点3:値動きの構造とチャートパターンを分析する

環境認識とS/Rを踏まえた上で、具体的な値動きの「構造」を分析します。

  • 波のカウント(エリオット波動など): 「今は上昇(下落)の何波目なのか?」を把握します。一般的に、推進波(1, 3, 5波)の後には調整波(2, 4波 or A, B, C波)が来やすい、5波完了後はトレンド転換の可能性がある、などを考慮します。(例:「5波動完了したから、そろそろ調整かも?」)
  • トレンドライン・チャネルライン: トレンドの勢いや角度、転換のサイン(ラインブレイク)を見ます。
  • チャートパターン: ダブルトップ/ボトム、フラッグ、トライアングルなど、特定のチャートパターンは、その後の値動きを示唆する重要なサインとなります。
    • 今回のキーポイント: 分析の最終段階で、「ダブルトップの中に、さらに小さなダブルトップが出現する(WWパターン)」という、強い売りのサインが出現しました。これが大きな判断材料となりました。

視点4:エントリータイミングとリスク管理

ここまでの分析を経て、ようやく具体的なエントリーを検討します。

  • エントリートリガー: 分析に基づいた優位性の高いポイント(例:「WW」パターンのネックラインブレイク)を待ちます。
  • リスクリワード: エントリーする前に、損切り位置(リスク)と利益確定目標(リワード)を考え、リスクに見合ったリワードが期待できるかを確認します。期待値の低いトレードは見送る勇気も必要です。
  • 焦らない: 明確なサインが出るまで待つ。中途半端な場所で手を出さないことが、無駄な損失を防ぎます。

まとめ:構造を理解し、サインを待つ

今回のユーロドルの例では、日足のアップトレンドという大きな流れがありつつも、週足レベルの抵抗や短期的な波の完了、そして最終的には明確な「WW」という反転パターンが出現したことから、ショートエントリーという結論に至りました。

トレンドフォローは、ただ流れに乗るだけでなく、

  1. マルチタイムフレームで環境を把握し、
  2. 重要なS/R帯を特定し、
  3. 値動きの構造(波やパターン)を分析し、
  4. 優位性の高いポイントでリスクを管理しながら仕掛ける

という、複合的な分析プロセスが重要です。

これらの視点を意識することで、より根拠のある再現性の高いトレードを目指せるはずです。ぜひ、ご自身のトレード分析に取り入れてみてください。